5月16日、福島県いわき市のほうとく幼稚園の園児たちや保護者の方が国交大臣室を訪れ、懇談しました。
この幼稚園は東日本大震災で園庭の4分の3が崩れてしまいましたが、2012年の「緑の環境デザイン賞」国土交通大臣賞を受賞して、田んぼやビオトープなど緑豊かな園庭に作り変えました。この賞は、緑化のプランを提案し、優秀な作品にその実現に必要な費用を支援するもの。ほうとく幼稚園では受賞後1年をかけて、園児たちも参加して計画どおりの園庭を作りあげ、その報告を聞かせてもらいました。
プレゼントは新しく作った田んぼで収穫された貴重なお米。子供たちからは「僕たちが田植えをして、脱穀までやったんだよ」「おいしいお米の炊き方を教えてあげるよ」「カエルやトンボもいるよ」と、元気な声を次々に聞きました。
緑の中で土に触れて作物を自分で作ったり、自然を観察できるということは、非常に貴重な経験です。地域が主体となった緑化の取り組みをこれからもしっかり応援します。
5月10日、11日の2日間にわたり、北海道の札幌、苫小牧、函館、白老などに行き、空港のWi-Fi設置、苫小牧港、道路整備や函館への北海道新幹線の新駅建設現場、アイヌ民族博物館、観光施設を視察。また、高橋はるみ北海道知事をはじめ、地元の市町村長、経済界の代表者の方々と北海道の活性化や今後の発展に向けた具体的な方策、課題等について要請を受け、意見交換をしました。
「北海道は、観光、農業、水産業など高いポテンシャルをもっている。そのためにもインフラを整備してほしい」「札幌への新幹線を前倒ししてほしい」「苫小牧港は北海道の外国向けコンテナ貨物の約7割を取り扱っている。北極海航路の拡大など国際物流が大きく動き出しており、今後さらに重要な国際物流拠点となる」「平成28年春に北海道新幹線が開業すると東京から函館に4時間10分で到着する。歴史と文化、豊かな食を有する函館の観光を大きく拡大できる」「白老町に民族共生の象徴となる空間をつくり、アイヌ文化を世界に発信したい」――。関係者からは意欲的な提案と要請がなされました。
また、JR北海道本社を訪問し、経営陣に対し「4月から新しい会長、社長の体制となり、安全第一の鉄道として再生に力を注いで欲しい」と話しました。
北海道の活性化と発展のため、現地と良く連携して戦略的に取り組んでいきます。
4月26日からモンゴル、韓国を訪問して首相・関係大臣等との会談・視察を行い、30日夜に帰国しました。
モンゴルは、日本の4倍もの国土に300万人弱の人口。首都ウランバートルにその半数近くが集中し、人口の流入が続いています。4月末のモンゴルは「広大な草原」ではなく、土、土、土の丘陵・平地がどこまでも続き、そのなかで舗装の悪い(してもない所も)道路を土煙をあげて走る状況となりました。
アルタンホヤグ首相、ガンスフ道路・運輸大臣、バヤルサイハン建設・都市計画大臣、オヨーンゲレル文化・スポーツ・観光大臣、オヨーン自然環境・グリーン開発大臣等と連続して会談。新ウランバートル国際空港の建設、道路・鉄道などのインフラ整備、観光交流の拡大などについて意見交換し、2つの覚書を交しました。

そのなか、新ウランバートル国際空港の建設現場を車を長時間走らせて視察。また、戦後抑留中に亡くなられた日本人慰霊碑を訪問し、献花をしました。
ウランバートルでは、人口の急増、無秩序・不法に建てられた多数のゲル、道路の未整備、大気汚染、渋滞等さまざまな課題が生じており、今回の訪問では、課題解決へ突っ込んだ協議をしました。日本への協力を強く求めている状況です。
韓国の訪問では、セウォル号沈没事故で社会全体が深い悲しみに包まれていました。犠牲者を悼む市庁舎前の合同焼香所に参列し、献花を行い、犠牲者のご冥福をお祈りしました。
また、ユ・ジンリョン文化体育観光部長官、ソ・スンファン国土交通部長官と会談。増加が止まってしまっている観光交流の強化、来年の日韓国交正常化50周年を契機とした交流活発化のための行動計画の策定や、2018年平昌五輪及び2020年東京五輪に合わせた共同マーケティング協力の推進などについて合意しました。
この他、コン・ノミョン元外務部長官、ユ・ミョンファン元外交通商部長官、韓日議連のファン・ウヨ会長、キム・テファン会長代行、カン・チャンイル幹事長、キル・ジョンウ議員等とも会談し、今後の日韓関係の改善などについて、様々な角度から議論しました。
4月24日午後、国交省で「水災害に関する防災・減災対策本部」の会議を開催し、集中豪雨、洪水などに備えた「タイムラインの作成」「地下街対策」の2つの対策を打ち出しました。わが国では初めての取り組みです。
まず「タイムライン」の作成。
例えば台風が日本に接近してくるような場合は、事前に事態の予測がある程度可能ですが、わが国では時間軸に沿った防災行動計画は作られていません。アメリカでは、一昨年にニューヨークを襲ったハリケーン・サンディの際、「上陸2日前には避難所を準備する、36時間前には避難勧告を出す、1日前には地下鉄を止める」といった時間軸に沿った計画(タイムライン)に基づき対応し、被害軽減に大きな効果がありました。大被害をもたらしたハリケーン・カトリーナの教訓からです。
災害対策、避難勧告等で日本でもこのタイムラインの考えを導入しようと私は考え、時間軸に沿ったタイムラインの作成を決定しました。気象庁や地方自治体と連携し、早めに交通機関を止めたり避難を促すなど、分かりやすく有効な対策が可能になります。例えば昨年10月の台風26号による伊豆大島の災害では、夜間に豪雨が襲いましたが、タイムラインがあれば明るいうちから避難することが可能です。
そしてもう一つは、地下街や地下鉄への対策。
東京は世界でも他に例を見ないほど、ゼロメートル地帯に地下鉄や地下街が広がっています。昨年フィリピンを襲ったスーパータイフーン(最大瞬間風速90m)が今後日本を襲うことも考えねばなりません。洪水や高潮でいったん浸水すると、地下空間全体に広がり、被害は想像を絶するほどになります。このような事態に備え、地下鉄事業者や地下街・ビルの管理者が連携して対策を打って行くよう、わが国初めての方針を決定しました。
まもなく出水期。近年の災害は局地化、集中化、激甚化しており、万全の備えが必要です。緊張感をもって対策を強化していきます。
4月24日、国交省に建設業関係の5団体(日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会、全国建設産業団体連合会)の代表者に集まっていただき、もっと女性が活躍できる建設業に向け、女性の技術者・技能労働者を5年以内に倍増することを発表しました。
建設業の担い手確保に向けては、私もこれまで取り組んできていますが、女性にもっと活躍してもらうことも重要です。建設業は"男の職場"と思われがちですが、建設業の現場にも女性の技術者・技能労働者が増えてきました。造園やリフォームなど女性の感性や生活者目線が活きる現場もあり、技術や経験をもった女性が活躍する機会が増えています。女性にもっともっと建設業に入ってきてもらうことで、建設業がさらに活性化していくことにもなります。
「女性が活躍できる職場であることを積極的にPRしたい」「現場監督が女性だと、職人さんたちがまとまってスムーズに仕事が進む」「女性が安心して使えるトイレの設置や柔軟な出勤制度で、女性が働きやすい環境をつくっていきたい」「工業高校の生徒も約3分の1は女性。もっと建設業に入ってもらうようにしたい」――出席者からは、女性の活用に向けた積極的な意見が相次ぎました。
打ち合わせの結果、女性の技術者・技能労働者を5年以内に倍増することを目標として、官民で行動計画を策定することを確認しました。
女性が活躍する舞台が広がるよう、環境づくりにしっかり取り組みます。