関東大震災から100年――。8月3日、大規模な首都直下地震対応訓練が東京臨海広域防災公園で行われました。国土交通省関東地方整備局が中心となり、東京都、東日本高速道路・中日本高速道路・首都高速道路の各企業、警視庁、陸上自衛隊、東京消防庁、東電パワーグリッド、KDDI、NTT、楽天モバイル、全日本レッカー協会、日建連関東支部、災害協定会社等が参加する大規模なものです。
首都直下地震は、30年間で70%の可能性と言われており、切迫しています。建物の倒壊、火災への警戒が重要ですが、災害発生時のグリッドロック(車などが全く動かない)、都市全体のマヒ、約500万人といわれる帰宅困難者への対応、通信障害、電気・水の緊要性等は、他の大震災とは全く違う様相となり、防災訓練も特別な体制が必要です。電気がなければビルでは水も出ない、スマホがなければどうしていいか分からなくなる現代人。救命救急は特別なものになります。
この日の訓練は、これらを踏まえたもの。道路啓開の8方向作戦の実効性を高めるため、ヘリやドローン、管理カメラ映像のリアルタイム配信、通信事業者による移動基地局車の設置、電力事業者による倒壊電柱・電線の除却・・・・・・。徹底した訓練となりました。猛暑の中での訓練でもあり、停電が例えば2日も続けば、大変な事態になることを実感する日でもありました。私はこの10年、首都直下地震への備えを重視して動いています。この日の訓練は「連携・実践・わがこと化」をテーマにしており、それを具現化するための極めて大事な訓練となりました。関係の方々に心から感謝いたします。
4日、埼玉県の荒川第二・第三調節池整備事業の視察を行いました。この事業は、荒川が豪雨に襲われた場合、洪水による大被害とならないよう備えておくもので、私が国交大臣時代に推進。2018年の着工、13年かけて2030年度(令和12年度)完成をめざしています。
荒川は文字のとおり、荒ぶる川。2019年10月の東日本豪雨では、危険的状況となりましたが、完成していた第一調節池(3900万㎥)のおかげで守られました。この日、第二・第三調節池事業の進捗状況を視察しましたが、IT、ドローンなどの最先端技術を使って、予定通り事業が進展していました。これができると第二調節池で約3900万㎥、第三調節池で1300万㎥の調節ができます。また、その間でも、3年後に第二調節池の一部の1200万㎥が先行して使えるようになります。地元の足立区、北区、そして葛飾区、江戸川区の区長の方々とともに、視察をいたしました。工事の安全と完成を心より祈ります。
念願の世界に誇る、実物大の免震試験機が完成――。18日、兵庫県三木市のEディフェンス(実物大の耐震・振動台)の隣接地に、念願の実物大の免震試験機(EーIsoIation)が完成。その祝賀式典と試験機稼動を行いました。実現に向け和田章免震研究推進機構代表理事をはじめ、東工大、京都大、東大などの研究者、大成建設など実現を願ってきた各企業関係者、内閣府・国土交通省・文科省などの政府関係者、兵庫県や三木市などの首長が出席し、喜び合いました。
大学で耐震工学を専攻し、国土交通大臣時代に免震偽装問題に遭遇した私としても、実物大の免震試験機ができる事は、地震国日本の耐震・免震・制震にとって、極めて重要なことで、力を注いできました。本当に多くの方のご尽力をいただき、類例のないスピードで完成したこと、心から感謝いたします。この日出席した全員で喜びの写真を撮りました。