政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN
NO.205 「早寝・早起き・朝ごはん」運動が20周年/「自転車の青切符」など身近な合意・努力が大切
「現場には匂いがあり、空気があり、優先順位がわかる」――。私が現場主義に立ち、歩いてきた実感である。情報があふれ、ポピュリズムが跋扈し、攻撃的なSNS・デジタル社会の現在、リアルな現場・地域・生活に目を注ぐことがますます重要となる。この2か月、トランプ米大統領の言動・行動に振り回されてきたが、身近な地域・住民の周りの変化も多々ある。「自転車の交通違反の青切符」「早寝・早起き・朝ごはん」運動などもその実例だ。
4月から自転車の交通違反に青切符制度が導入された。「ながらスマホ」や「遮断踏切立入り」は勿論、「信号無視や一時停止」「傘差し運転」「指導警告に従わない右側通行」などへの取締りが強化された。警察庁によれば、2025年に発生した歩行者と自転車の事故は全国で約3300件。交通事故件数の減少のなか、自転車関連は横バイで推移、特に自転車と歩行者の事故件数は増えている。最も多いのが交差点や路地の角での出会い頭衝突だ。
戸惑いもある。自転車と自動車双方から「車道を自転車が走るのは怖い」という声は多く、子どもを乗せて走る「ママチャリ」からは様々な懸念が寄せられている。日本は世界の中でも自転車利用が多く、各交通機関の中で自転車を選ぶ分担率が高い国だという。標識のある歩道や、13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者には、車道が危険な場合には歩道走行が認められている。安全走行のルール徹底は大事だが、地域や各人の実情に応じた対応が望まれる。
青切符制度導入に踏み出した今、自転車に安心して乗れる環境整備が急がれる。自転車専用レーンの拡充、歩道のデコボコで自転車の転倒事故も多いことから歩道自体の整備も不可欠だ。国交省は、自転車通行空間の整備延長をめざし、30年度までに1万2000kmに拡充するという。昨年末で9841kmというからあと約2000kmが必要。そのためにも今回、地方自治体が自転車ネットワーク計画調整会議(都道府県単位)を設置、防災・安全交付金の重点配分で自転車通行空間の整備に力を入れる方針を打ち出した。国と現場の自治体・地域が一体となっての積極的取り組みが今こそ重要となる。
先日、「『早寝・早起き・朝ごはん』国民運動が20周年を迎えました」という報告を受けた。この運動が始まったのは2006年。百マス計算で知られる陰山英男氏が、日本社会の夜型化が進み、生活習慣の乱れが知力、体力の低下につながると指摘し、文科省が国あげての運動として結実、それが国民運動として今日に至っている。私もこれに賛同し、強く進めた思い入れがある。子どもたちの健やかな成長のためには、適切な運動、バランスのとれた食事、十分な睡眠など規則正しい生活習慣が大事だ。この基本的な生活習慣の乱れは、学習意欲や体力、気力の低下のみならず、その後の人生の資質・能力にも影響を与える。「早寝・早起き・朝ごはん」運動によって朝食を食べる子どもが10%ほど上昇したという。
しかしこの20年、社会も家庭も変貌した。SNS・ネット社会、共働き・共育て社会だ。母親も働き、父親の仕事は不規則も多い。「ぼっちな食卓」(岩村暢子著)という衝撃の本がある。「日本の家庭の食卓はどうなっているのか」を、定点観測、追跡調査をすると、家庭の食卓がどんどん崩れている現実を浮き彫りにしている。バラバラに食事をしている家庭、好きな食べ物を子ども自身に選ばせて出している家庭、家族一緒の食卓がない、朝昼晩3食のリズムがない家庭が増えているという。「2017年~2018年頃、朝の家事や子どもの身支度ではなく、携帯チェックやメール交換をする親が増えてきた」という。「深夜に帰宅する子どもを心配したり、食事を用意しておく『案じる親』が減っている」というのだ。「個化する家族」は、旧来の家庭が担ってきた様々なものを内側から無用化している。そして岩村さんは「この調査を通じ、きちっとした『家庭の食卓』をしてきた家庭は、円満家庭として崩れない。『共食』が維持され、『家事協力』も崩れない」と指摘している。
地道で粘り強い「早寝・早起き・朝ごはん」運動は、こうした時代の変化、家庭の変化のなかで貴重だ。この運動は「子どもたちの正しい生活リズムを地域全体ではじめる社会をつくろう!」をテーマとしているが、地域の支え合う仕組みと努力はますます重要となる。
身近な生活と地域――。「自転車の交通違反の青切符制度」「早寝・早起き・朝ごはん」運動は、住民・地域の合意形成と支え合いの大切さを示唆している。































