政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.206 外国人材の受け入れ環境の整備を/多文化共生社会へ必要な意識改革

2026年6月 9日

日本を訪れる外国人が増えている。街を歩いても、新幹線に乗っても、外国人と必ず出会うようになった。訪日外国人旅行者数は昨年、ついに4268 万人となり、消費額も9.5兆円、前年比17%増となっている。自動車に次いでインバウンド観光が第二の輸出分野だ。在留外国人数も昨年末412.5万人となり、昨年一年で35.6万人増加している。日本の急激な「人材不足」「エッセンシャルワーカー不足」を反映して、コロナ禍後は復調、増加が顕著だ。「増え続ける外国人とどう向き合うか」は今、日本の最重要課題の一つだ。大事なことはエビデンス、実態を正確に把握し、マイナスや不安要因を取り除き、どう多文化共生社会を築くか、外国人材を支える受け入れ環境を構築するか、その態勢を整えることだ。

インバウンド観光については、20306000万人をめざしているが、「オーバーツーリズム」「民泊」問題の対処が重要だ。観光庁も「オーバーツーリズム」対策として、国際観光旅客税を活用し、今年度から100億円を当初予算に計上した。「民泊」については、「違法民泊」をなくし、「迷惑民泊」について地方自治体が実情把握、指導、処分が可能となるよう、民泊ガイドラインの見直しが必要だ。より現場の地方自治体・地域の声を反映できるよう支援を望みたい。

在留外国人は2025年末現在、412.5万人(特別永住26.6万人を含む)となっている。中国93.0万人、ベトナム68.1万人、韓国40.7万人、フィリピン35.6万人、ネパール30.0万人、インドネシア26.6万人、ブラジル21.0万人、ミャンマー18.2万人、スリランカ7.9万人、米国6.9万人、台湾7.3万人などとなっている。東南アジアのベトナム、ネパール、インドネシア、ミャンマーなどが増えている。

国籍 地域別.jpg

在留外国人の在留資格別に見ると、永住者(永住許可者) 94.7万人 技術・人文知識・国際業務(大学卒で来日、働いている人)47.5万人 留学生46.4万人 ④技能実習45.6万人 ⑤特定技能39.0万人 ⑥家族滞在(の家族)35.7万人 ⑦定住者22.6万人 ⑧日本人の配偶者等15.2万人――など、いずれも増加となっている。この背景には、日本社会の人口減少・少子高齢化、人手不足、そして地域の担い手不足という構造変化がある。建設、運輸、医療、介護、農林水産業、観光・宿泊など、生活と経済を支える現場ほど人手不足は深刻だ。

2025 在留資格別.jpg

日本経済が持続的成長をするためには「2040年に1100万人の労働者不足が起きる」との衝撃的レポートがある(古屋星斗+リクルートワークス研究所)。宅配便が届かない、救急車を呼んでも来ない、道路、橋が未修繕のまま放置される......。「女性・高齢者」「AI・デジタル等の活用」「外国人労働者」の3つが不可欠だと私は思うが、外国人材の受け入れは、日本社会を持続させるための基盤政策と言ってもいい。そのためにも旧来の「安い外国人労働力を確保する」という考えは改めるべきだ。これから世界は東南アジア諸国も含め、人口減少社会となり、かつ経済成長も加速することになる。「日本は給料は少し低いが、平和で安全で優しく、先進的技術があるので学びたい、暮らしたい」と意欲や能力をもった優れた人材が「日本を選ぶ」ことこそ大切だ。受け入れる日本側の意識改革、態勢づくりが喫緊の課題となっている。

昨年10月、在留資格の中にある「経営・管理ビザ」の厳格化で資本金・出資金500万円のところが、3000万円が必要となった。「500万円出せば日本で会社をもてる」と悪用されることがあったからだという。しかし、インド人・ネパール人などが営む小規模飲食店が苦境に陥っているとの声も聞く。また今年3月末、「特定技能」のなかの「外食」部門が28年度5万人の目標定員数の上限になるとして、申請打ち切りとなった。関係者は突然のことで対応に苦慮している。先月の入管法改正で在留資格の更新や変更を行う「在留審査の手数料の引き上げ」を決めた。「大幅な引き上げは妥当なのか」と全国紙社説等でも取り上げられた。この一年、「ルールを守らない外国人に厳しく対処するのは当然」とばかり、厳格化の名の下の「取り締まり」が強化されている傾向があるが、エビデンスに基づいた整理が不可欠だ。

急に外国人が増えているだけに戸惑いもあり、風説もある。外国人労働者の課題を長く研究してきた是川夕氏は、「地域の治安を悪化させるクルド人など」「経営・管理ビザで滞在し日本の義務教育や国民健康保険、高額療養費制度を濫用するリッチな中国人」「出稼ぎのために来日する留学生」「今、在留外国人は3.3%の日本だが、やがて10%になったら大変なことになる」などはエビデンスに基づかない誤解も多いと指摘。「エビデンスを蓄積・整備し、効果的な政策の立案が必要」と訴えている。

外国人は身体だけが日本に来るのではない。人は文化や宗教を身にまとって日本に来る。そのことを理解し、共生することが重要だ。多文化共生社会への歩みには、相当の意識変革が必要であり、具体的な粘り強い受け入れ環境の整備がこれから必要となる。

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