政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN
NO.211 インバウンド観光は成長のエンジン/「民泊」「オーバーツーリズム」対策を強化
「訪日外国人旅行者が2000万人になったら日本の景色が変わる」――。2013年、私が国土交通大臣として、「観光」に力を入れていた頃、一緒に観光に頑張っていた航空会社幹部が言った言葉をよく思い出す。この10年余、コロナ禍で強烈なダメージがあったが、2025年はついに4000万人を達成した。
昨年の訪日外国人観光者は4268万人、その消費額は9.5兆円に及んだ。これは外貨の稼ぎ手である輸出分野で自動車に次いで第2位となる。その一方で、「オーバーツーリズム(観光公害)」や「民泊トラブル」などが発生、その解消が重要課題となってきた。これらの問題を解消し、観光の体制強化を更に整えなくてはならない。
訪日外国人旅行者数は今年も4000万人に届く見込みだ。ただし、総数は若干の減となりそうだ。要因は中国からの観光客の大幅減。昨年909.6万人で韓国(946.0万人)に次いだ中国だが、昨年11月からの日中関係の悪化から急速に減じ、今年は1月から9月迄に333.6万人(55.5%減)となっている。しかし、中国を除いた国々は、韓国、台湾、香港、東南アジア、米国などいずれも着実に増加。9月迄の総数は約3073万人(2.9%減)の状況だ。これらを見ると今年は4100万人程度と見られる。
注目する消費額は今年1月から9月迄で約7.1兆円となっており、これは昨年より1.9%増えている。成長と地方創生のエンジンに間違いなくなっており、2030年6000万人、消費額15兆円のインバウンドの目標に向け、着実に進むことを期待したい。
「トラベルはトラブル」という言葉が観光の世界にはある。人が動けばそれだけ様々な摩擦が起き、困難に直面する。まず問題となるのが「オーバーツーリズム」という課題だ。観光名所に人が押し寄せ、交通難、騒音(静穏が破られる)、ゴミ、対人トラブルなどの発生だ。京都、鎌倉、富士山......。報道にあるように鉄道・バス等々で大きな荷物を持った外国人観光客とのトラブルが日常的に起きるようになった。
地方自治体も対策に乗り出している。地域住民の生活への悪影響を避けると同時に、旅行者の満足度が低下しないようにする対策だ。観光地では観光客の車両の集中で交通渋滞が発生したり、違法駐車で生活交通が妨げられている所がある。北海道の美瑛町は、そうした事態に対し、屋外IPカメラ設置や無断侵入防止サイン掲示等を行った。鎌倉市では、人流整序化のための観光客誘導の実証実験を行っている。京都ではバスターミナルやバス車内の混雑緩和のため、観光特急バスを新設した。国としては、地方自治体・観光地域づくり法人(DMO)などの地域一体となる取り組みに対し、100億円規模の予算で応援する体制を作った。今年の7月以降、国際観光旅客税が引き上げられ(日本からの出国につき3000円、日本人も外国人も)、この財源等を使って、オーバーツーリズムの未然防止・抑制をめざし観光地の受入環境整備を促進することになる。
「民泊トラブル」に対しても今、急カーブを切った対策が始まった。このほど4000件近い民泊施設がある東京新宿区は、住居専用地域や文教地区、学校周辺等において家主不在の民泊事業は全日営業禁止、商業地域においても営業日数を180日から120日に制限する方針を打ち出した。文京区は全域において平日営業禁止、豊島区や大田区では住居専用地域及び文教地区等においては全日営業禁止とする方針を決めた。観光庁が今年7月、民泊の営業を条例で禁止できる(営業日数をゼロ)とする通知を出したこともあり、現場が具体的に規制強化に乗り出したわけだ。
民泊施設は現在全国で約4万3000件、延べ宿泊者数917万人(2025年度)。そのうちの約6割が外国人だという。民泊をめぐる課題は「無届民泊」と「迷惑民泊」に分けられる。必要な届出・許可のない「無届民泊」は旅館業法違反であり、ガッチリ取り締まる。勝手に仲介サイトに掲載しているものがあるが、これは確実に削除していく。通常の「迷惑民泊」については、東京各区で始まったように条例で立地規制(いわゆるゼロ日規制)を行っていく。また、不適切な事業者への処分を確実に実施できるよう、「夜間苦情受付センター」の設置などを進めていく方針だ。自治体によっては、条例で事業者自らが迷惑行為への対応を強化するため「民泊のICT管理の義務付け」をしていく。このように「民泊トラブル」の解消の為の動きが本格始動したことになる。
インバウンド観光は成長と地域創生のエンジンであり、いよいよ真の観光立国へ健全な発展をさせていかなければならない。今年はその重要な岐点の年だ。































